Cross Talk
事業の要となる
海外サプライヤー
開拓への挑戦
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企画職(総合職)
営業部門-
Iさん
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Kさん
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Oさん
01海外サプライヤー
開拓とは-
私たち伊藤忠リーテイルリンクの商品の多くは、海外の工場で作られ、日本に輸入されています。安価で品質が良いものを作るために海外サプライヤー(商品を製造する工場や企業)とのつながりを拡げることも、私たちの重要な仕事です。
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とくに私たちの主力商品であるレジ袋は、工場にインフラが整っていなくても電気さえあれば作れてしまう。なので、一層価格が勝負になる。だからこそ、常に値段と質が折り合う工場を探して、安定した供給を確保することが大事ですね。
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伊藤忠商事は世界中に拠点がありますし、長い歴史のなかで同業他社とのネットワークもあるので、日々それらのつながりによってサプライヤーのネットワークは広がっています。しかし、実際に海外に赴き、自らの足でサプライヤーを開拓することで、よりお客様のニーズにマッチした工場とつながれることも少なくありません。
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海外サプライヤー開拓は、単に工場のネットワークを拡げるだけではなく、人とのつながりもつくることができる貴重な体験です。海外出張で出会う競合他社の方々は、日本ではライバルでも、海外で知り会うとなぜか仲良くなったりということもよくありますから。
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02
部署横断海外サプライヤー
開拓プロジェクトについて-
私が入社する前の2016年頃、部署を越えたメンバーで海外サプライヤーを開拓するプロジェクトがあり、お二人も参加されたと聞きました。このプロジェクトの発足理由はなんだったのでしょうか?
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きっかけは、当時、とある国の工場がポリ袋の生産において一強だったこと。その工場が入札に入ってしまうと、価格の面ではどの工場も勝てないという状況でした。競合他社も取引をしている工場だったので、その工場を他社に取られてしまうと勝てない。そんな状況が社内で問題視され、価格と品質で対抗できるサプライヤーを探すため、過去にまだコネクションのない国や工場を開拓することになりました。
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3つの部署から4人のメンバーが選出されました。さらに、伊藤忠商事からもフォローアップメンバーとして2名が参加。彼らには、私たちが足を運べなかった国に行ってもらったりもしました。それと、管理役として各メンバーの部長、課長も協力してくれました。
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少数精鋭のメンバーだったんですね。このプロジェクトでは具体的にどんなことをされましたか?
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まずは、各国のサプライヤーをリストアップしました。伊藤忠商事や海外店、関連会社の協力を経て、全部で50以上の工場・企業をリストアップすることができました。候補に挙がった国は、中国、ベトナム、タイ、ミャンマー、インド、ベトナム、スリランカ、台湾、マレーシアなど…。チーム4人でそれぞれ国ごとの担当を決めて、それぞれがさまざまな国を奔走しました。Kさんと私は、一緒にベトナムに行きましたね。
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懐かしいですね。私は、その他に中国を担当しました。現地では、伊藤忠の駐在員と一緒に工場を訪問します。具体的には、ご挨拶をして、工場内部を視察したり、工場についてヒアリングをおこなったり。作れる商品や、キャパシティ、その工場が取引のある原料メーカーなど…詳細にヒアリングしました。
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視察が終わると、工場ごとにランクをつけてグラフ化することで、どのサプライヤーが有力かを可視化していきました。私はベトナムの他に、中国、ミャンマー、マレーシアを担当しました。1~2ヶ月の間は、毎週どこかの国へ出張に。今思い返しても、体力的にも精神的にも本当に大変だったなと思います。
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03
プロジェクトにおいて
大変だったこと・成長したこと-
毎週どこかの国へ出張と聞くと、忙しい様子が目に浮かびますが、そのほかにプロジェクトを通して大変だったことはありますか?
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当時、私は入社3年目、そして営業担当としては1年目。右も左もわからない状況でこのプロジェクトに参加したので、とにかく苦労しました。もちろん工場に行くのも初めてだったので、「何が良くて、何が悪いのか」を計る目も持っていませんでした。なので、一緒に同行してくださった先輩から知見を学び、その場で吸収していくという感じでした。とにかく時間がないなかで、工場に行って、現地で学んで、ホテルに戻ってその日のうちにおさらいをする日々。辛かったですが、それを乗り越えたからこそ、いまはサプライヤー選定で悩むことはありません。
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辛いことは少なくありませんでしたが、毎日異文化に触れられる楽しさもありました。ミャンマーの工場は、工場の裏に犬が飼われていたり(笑)。工場の社長が民族衣装で出てきた時は驚きました。そんな異文化のなかでも、相手の心を開かないと商談もうまく進みませんから、その辺においてコミュニケーションは大変でした。
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海外サプライヤーとのやりとりは基本的に外国語だと思いますが、相手の心を開くためには言葉の壁が高いですよね。どう乗り越えましたか?
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当時も私はカタコトな英語しか話せませんでしたし、言葉はとても苦労しました。海外駐在員は基本的に英語を話せますが、現地の工場の人たちは現地の言葉しか話せないことが多く、現地のスタッフを通すこともありました。けれど、通訳を介してでは心を開くことは難しい。先輩には、「直接コミュニケーションを取らないと伝わらないから、間違ってでもいいからやってみろ」と言われました。失敗しても、そのあとに答え合わせをきちんと行えば大丈夫だという精神で、積極的にコミュニケーションをとるようにしていましたね。それから、視覚で伝わるようにホワイトボードに図を書いたりもしました。「原料がこの値段だから、この価格でできませんか?」といった交渉とか。
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社内には、留学経験があって流暢な英語を話せる人もいます。けれど、私もIさんと同じで初めは英語をほとんど話せませんでした。英語はもちろん話せるに越したことはないですが、英語スキルが必須というわけではないと思います。ただ、準備は必要です。伝えたいことや聞きたいことは話せるように事前に考えておきます。それから、Iさんがおっしゃるように、書いて伝えるといった“伝え方の工夫”も海外ではとくに大切だと思います。
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04
プロジェクトを経験して
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プロジェクトが始まった時、私は30代前半で、チーム長になりたての頃でした。プロジェクト内では最年長で、「しっかりやらなきゃ」という責任も感じていました。まだ経験が浅かったので、プロジェクトを通して“上に立つ人”としても成長できたと思います。それから、あれだけの数の工場を視察した今は、レジ袋やゴミ袋について品質管理部門の人たちよりも私の方が知っているという自負があります。不良品が出たときすぐに理由がわかるので、お客様に詳細に説明することができますからね。
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私も、誰よりも知見がある自信がありますね。当時はまだ新人だった私ですが、他メンバーは全員がプロフェッショナルでした。そこに私が選ばれたからには、受け身にならず、先輩方に自分で追いついていくことが当たり前だと思っていました。優しいからこそ厳しく指導してくださる先輩方の期待に答えたい一心で、プレッシャーもありました。ですが、本当に楽しい経験でした。海外でバリバリ働いて、現地で直接取引の話ができる。思い描いていた“商社の仕事”だったなと思います。本当に辛かったですが(笑)、経験できてよかったです。
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プロジェクトを通して、その後も採用された工場もあれば、諸事情で採用されなかった工場もあります。今もつながりのある工場によって、新たに増えた仕事もあり、つながりの大切さを実感しています。それから、社内の工場の選択肢も大きく拡がりました。レジ袋有料化という世の中の流れがあっても、いまだにレジ袋が私たちの主力商品であるのは、当時つながったサプライヤーが寄与してくれているからだと思います。
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プロジェクトによって会社の知見は本当に増えましたし、なにより社内の風土が変わったと思います。今までは、すでに取引のあるサプライヤーしか選択肢になく、条件に当てはまらなかったら諦めるしかなかったのが、諦めずに「もしかしたらこの人なら知ってるかも?」と確認してみたり、海外駐在員にアクションするようになりました。
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たしかに、社内でいつもそういった前向きな雰囲気を感じます。私はコロナ禍で入社したので、海外出張の経験は数回程度しかありません。海外サプライヤーの開拓は、日本にいながらリモートで駐在員を通して経験してはいますが、現地で立ち会って調査という経験は一度もありません。お二人のお話はまさに、私の想い描く商社マン。大変さは想像以上なのだろうと思いますが、自分の成長のために挑戦したいですね。
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Oさんは、これからどんどん海外でも活躍していく人材だと思いますよ。そのときは、当時の私たちとはまた異なる方法で切り拓いていくことになるんだろうね。
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ぜひ後輩たちにも、こういった経験をしてほしいですね。海外での経験によって、取引先としてのサプライヤー開拓だけではない、本当の人間関係を築くことができますから。日本の品質に対する要求は高いため疎まれがちなのですが、オーナーと信頼関係が築ければ「まぁしょうがないな」と笑って受け入れてくれるようになります。工場の人々はもちろん、現地の駐在員、グループ会社や同業他社の人など、人とのつながりはまさに財産です。
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05
今後の目標
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私の今後の目標はまず、今所属している部署のメイン業務である大手コンビニエンスストアの売り場づくりを責任もって遂行すること。そのために部長代行として、後輩の指導育成に重きを置いています。後輩たちが働きやすい環境を整え、それぞれが力を発揮できるように業務を振り分けるなど、部全体の成長を目指していきたいです。そして、私がしてきた経験以上のことにどんどん挑戦していってほしい。伊藤忠リーテイルリンクにはさまざまな国や、関連会社への出向のチャンスがあります。私もいくつかの関連会社への出向を経験して、その学びを伊藤忠リーテイルリンクへ戻って還元していました。そのマインドを、会社全体へ広めていきたいです。Kさんも、タイへ出向していましたね。
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海外サプライヤー開拓だけでなく、タイ出向も自分の成長につながる貴重な体験でした。私は、会社からさまざまなことを経験させてもらい得た知見で、投資や、海外に伊藤忠リーテイルリンクの合資会社を作ることに挑戦してみたいです。それから、海外とのつながりを東南アジアだけではなく、アフリカ、中東、ヨーロッパ圏へと拡充していきたいです。そしてなにより、面白いと思える商売をしていきたいですね。
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私も、どんどん海外にも挑戦したいです。上長からも、「最近は現地に行く準備が社内でも整いはじめたから、どんどん挑戦しよう」と言われています。新規サプライヤーの開拓だけでなく、既存のサプライヤーとのつながりも大切にしていきたいです。
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海外のサプライヤーとのやりとりは、どうしてもメールや電話が多くなりますよね。顔の見えないやりとりは機械的になりがちです。ですから、新規・既存問わず、直接会って話すことはとても重要だと思うんです。Oさんの言う通り、伊藤忠リーテイルリンクは外に行くことに非常に寛容ですから、いろんな経験をしてほしいですね。
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国ごとに文化も価値観も全く異なるでしょうから、いろいろな国を経験できたら嬉しいです。今は中国のサプライヤーがメインなので、東南アジア中心に、知識や経験を増やしていきたいです。
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